紙面を読んで From Ombudsman | 457号 |

武野 大策
私は今回が3回連載の最後です。肩書になっている「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」(むの賞)について書きます。日々の新聞への期待も込めて。
むの賞は埼玉県の有志が発案し、落合恵子、鎌田慧、轡田隆史、佐高信、鈴木邦男、永田浩三、武野大策の賛同を得て、2018年6月に作られた、地域に根ざし、民衆のために報道している人、団体を顕彰する手づくりの賞です。毎回50ほど集まるすべての作品に目を通す機会に恵まれます。そこで、全国には本当に頑張っている人が多くいることを知りました。しかし、その人たちの努力が大きく影響を及ぼすことを見ることが、ほとんどありません。
最近、全国紙は政府広報紙的色彩が強くなっています。そうなると、それ以外の県紙や地域紙に期待がかかります。456号の特集は、震災・原発事故から11年目の地域からの発信で、地元に生活しているからこその記事でしたが、知る人が限られるのが残念です。
第4回むの賞の大賞は、沖縄タイムスと共同通信が辺野古新基地に絡んでトクダネをとったものが選ばれ、地元紙と全国ネットが協力することで大きな影響を与えました。これは地域紙同士でもできるはずです。ジャーナリズムには権力を監視するという役割もあるのですが、最近、全国紙はそれを十分発揮していないから、地域紙が協力し実現してもらいたいのです。また、地域紙同士で連携して、より多くの人に自分達の想いを伝える努力も必要です。
3月21日(月・祝日)午後2時から、東京・文京シビックセンター4階ホールで、受賞の集いがあります。そこには、自分達が困っていることを裁判や社会運動で改善した記録をまとめて優秀賞を取った人も多く集まります。交流を深めて吸収し合うのも、良いのではないでしょうか。午前10時半からは「むのたけじ」を映像と佐高信さんの話で振り返るプレイベントもあります。
(「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」共同代表)
そのほかの過去の記事はこちらで見られます。