紙面を読んで From Ombudsman | 467号 |
栗城 英雄
「風力発電」のニュースが時々、新聞やテレビで流れている。日々の新聞でも2019年10月1日号(398号)で「いわきの山に最大170の風車が建てられる」と、遠野地区のエネルギー問題を特集している。
そのころ、いわきの風力発電は遠野の2つを含めて中山間地域に8つの計画があって、最大でも170基もの風車が建つ予定と報じている。特集では遠野での風力発電計画の現状を説明し、土砂災害や水質汚濁などを危惧して反対している住民たちの声も伝えている。
実は、私は3・11東電原発事故後すぐ、当時の福島県立博物館長の赤坂憲雄さんたちが立ち上げた「福島県の未来を考える会」に加わり、翌年には「会津の役割」と題し、宇宙物理学者の池内了さんたちを迎えてのシンポジウムを喜多方で開催した。そこでのテーマの1つ「電力の地産地消」を述べた大和川酒造の佐藤弥右衛門さんは、2013年に会津電力を創設した。
さらに私たちはエコパワー(本社・東京)が会津若松市に計画していた背炙山の風力発電事業の反対運動を行った。人も金もなかったが、「風の谷委員会」という団体をつくり、環境影響評価書に対する私たちの意見書をエコパワーが都合よく書き換えた、と著作権侵害の損害賠償を東京の知的財産高等裁判所に訴えた。2人の共同代表が何度か上京して最高裁まで闘ったが、残念ながら認められず、いま、背炙山には8基の風車がブルンブルン回っている。
背炙山にはイメージワン(本社・東京)も風力発電事業を計画しているが、地元の3区長が反対している。また日立造船(本社・大阪市)が下郷、南会津、昭和、会津美里の4町村にまたがって計画していた会津大沼風力発電事業(風車四十基)は、地元の野鳥の会や自然保護団体、それに4首長の反対で、先ごろ計画は取り止めになった。
私もこの計画には福島県と地元4首長に「やめてください」とハガキを出していた。「中央のギセイはもうゴメンだ!」と。
(会津若松市在住)
そのほかの過去の記事はこちらで見られます。