omb517号

 紙面を読んで From Ombudsman517 

 

画・松本 令子

 

 里見 法道

 「日々の新聞」にはときどき、古い時代の地図や絵地図が登場する。それを眺めながら、昭和から平成にかけての、今はもう閉店してしまったお店などについて「簡単に調べられるといいな」と思うことが多い。
 小さいころに通った駄菓子屋やおもちゃ屋、本屋についての情報を知りたいと思っても、場所も名前もうろ覚えで、住宅地図などでピンポイントに探していくのは困難だし、商業施設のテナントの移り変わりについては、館内マップや広報誌を図書館で探すしかないのだろうか。すでに取り壊されたライブハウスも場所は覚えているが、内装などはぼんやりとしか出てこない。姉に連れられて遊びに行き、肩まで埋まってしまった沼は一体どこにあったのだろう…。
 このような思い出をすっきりさせようと、その方法について考えてみた。
 ①少し上の世代の先輩方にお聞きする。当時をしっかり覚えているのでさまざまな情報が出てくる。私の時代には閉店している店舗の情報や、人の繋がりなどもお聞きできて興味深い。
 ②インターネットに頼る。これに関しては、一昔前だとかなりの情報が得られたように思う。ただ、地方の情報に関してはヤフーブログ、やぷろぐ、ジオシティーズなどが数年前にサービス終了となった。個人ブログを利用されている方が多かったので、今はなかなか情報を集めづらいと感じる。これからの世代の方はGoogleマップのストリートビューやタイムマシンに蓄積されたものを使用していくのだろうか(実際の出会いだけでなくネットも一期一会なのだと肝に銘じてほしいです)。
 ③当時の友人と語り合う。そもそも本来そういう場でこそ、盛り上がる話なのだろう。それなりに楽しく過ごしていたはずなのだが、近くに友達がいない(どなたか連絡をいただけるととても嬉しいです)。
 どのような手段を用いて調べていくとしても、それはあくまでも語り部の方の記憶・記録であって、過去のことを今からリアルで確認することはできない。地域での共通認識も1学年違うと変わってくるし、同じ世代でも所属するグループでまた異なるものだ。
 そもそも、一瞬一瞬、おそらく誰かのドラマがあるその時を、切り取られた画像や言葉で分かったつもりになってしまうのはおこがましいな、とも思う。あくまでも今の自分にとってのその施設などとのラベリングがなされるだけだと、考えなくてはいけない。

 私も若い世代の方とのギャップを強く感じるようになってきています。そんな中で自分の感覚、常識にズレがないかを、日々俯瞰的に捉えていきたいです。「良い意味でのマイノリティ(少数派)でありたいと思っているが、あくまでもマジョリティ(多数派)の感覚を持ち合わせたうえで、という事が必要」だと、いわきに戻ってきてからなのか、年齢を重ねたからなのか、強く感じる今日このごろです。

(丸浜運輸代表取締役)

 

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