それから原発の問題ですね。エネルギー源として、僕は初めから水力発電ぐらいが一番いいと思っていました。実際、いろんなエネルギー源を比べてみると、水力が一番、可能性というか害がないというか。
このあいだ地元の財界で、財界人の「世界の電力事情について」の発表がおもしろかったです。水力のパーセンテージが一番大きいのはカナダで、7、8割だそうです。日本も一定の割合があって、やろうとすれば水力でまかなえる、という本を出している人がいます。
日本列島のように、こんなに高い山があって、降水量も多くてというところはあまりなく、既存のダムもあるので、機能を少し変えれば原発はいらない。ただ、川にいつも水が流れていなければならないので、そこをどう対応するかという問題はありますけれど。
米の増産で農業用の多目的ダムは多いので、減反ということもあるし、水力発電をもう一度見直して、安全なエネルギー源を考えるのがいいです。日本の54基の原発を全部廃炉にするんだという、勢いのいい政治家がいれば…。
アメリカと戦争をして負けたことが、いろいろ影響しているんでしょうね。原発にしてもアメリカの指示ですから。
うち(アクアマリンふくしま)には獣医師がいて、トリチウムなどの問題を一生懸命やるのもいるんですよ。原発を稼働すると、そういったものが出でくるというのがつきものなんでしょうからね。そう言う人が多いですが、結局、海は広いけれど、魚も沿岸で育つので。
ですが沿岸の水の環境だけではなく、岩礁がなくなったり、海草がはえるところがなくなったり、そういう物理的なことも問題だと思います。原発が出す水以外に、川の水も何が入っているかよくわかりません。農薬もいっぱい使うでしょう。
それが沿岸の生態系をわびしくしています。水産試験場などがそういう調査をきちんとしているかどうか、ちょっと疑問です。要するに稚魚はみんな沿岸で育つわけですから、その辺はね心配というか。
漁業に携わる人も高齢化して、川の漁業と全然つながっていないし、川の漁業には退職した校長先生とかいろんな面 白い人はいるけれど、川の保全について国交省に何か言えるわけではありません。ダムの行政もあるし、そういう川の環境保全を考えた総合的な行政は、ないような気がします。
(福島第一原発の敷地にたまったトリチウム汚染水の問題は)爆発した原発の後処理でそうなっているんだけれど、いま稼働しようとすればできる原発があるでしょ。あれを早く壊さないとだめだね。それで、あと残ったのはこれで最後ですから最後にしますからと、エックスキューズしないと。
また、あわよくば(原発を)復活しようというのがあるに違いないから、むこうから壊し始めないとだめ。エネルギー問題全体にかかわっているので、説得するにはそれしかない。「もう原発はやめます」と。
常磐線が(3月14日に)全線開通すれば、原発の影響が及んでいる景色が車窓から見えるわけだけど、「爆発すればこんなことになるんだ」と、そういうのはメッセージ性があります。