447号

  


2年間で必ず合意ができる
  吉野 正芳さん

 今回の選挙で訴えたいのは、双葉郡にできる国際教育研究拠点施設のことです。これはアメリカのスタンフォード大学をモデルにしていて、新しい産業を興す施設です。場所はまだ決まっていませんが、双葉郡が前提です。ただ、南相馬市も立候補しています。
 いわき市は、母なる都市としての機能を果たしていかなければなりません。それはいわき市でなければ果たせないことで、新しい産業が生まれれば、特急が停まるまちが、絶対必要ですから、その受け皿に、いわき市がならなければなりません。双葉郡で研究した成果を実現するのは、福島県やいわき市など母なる存在だと思っています。
 岸田さんが新しい総理大臣がになって、選挙は戦いやすくなったと思っています。派閥(細田派)代表の推薦人になっていたし、所信表明演説を聞いてバランス感覚の良さを感じ、まともな政治をやってくれる人だと思いました。メディアは3A(安倍、麻生、甘利)の傀儡政権と書いていますが、そんなことはありません。きちんとリーダーシップを発揮できる人です。それは、所信表明が物語っています。選挙は、相手がだれであろうとも、「わが道を行く」です。あいさつ回りを基本に全力を尽くします。
 ALPS処理水については、合意ができなければ絶対に捨てることはできません。でも、この2年間で必ず合意できると思っています。すでに地下水バイパスは1500Bqで捨てています。これについては漁連が認めています。処理水についてもデブリに触っているとは言え、同じ1500Bqにして流すわけです。放射能レベルは同じですから。時間をかければ合意できると信じているし、確信を持っています。「もし漁業者が合意できないと言ったら」という仮定の話には答えられません。
 最近は読んでいないけれども、趣味は読書。歴史ものが好きですが、作家は特に決めていません。座右の銘は「初心忘るべからず」です。選挙は1週間早まったけれども、条件はみんな同じですから早い方がいいです。
 


汚染水の海洋放出は許されない
  熊谷 智さん

 喜多方の出身です。母方の祖父は戦争直後に「あの戦争はなんだったのか」と少年時代をふり返るなかで共産党に入り、西会津町議を九期務めました。両親も共産党員で、わたしも高校を卒業した18歳の時に入党しました。二本松の専門学校で学んで介護福祉士になり、現場を2年、経験したあと、会津医療生活協同組合に就職しました。
 震災、原発事故が起きた2011年の秋の県議選で共産党は5議席に増え、県議団から「事務局で支えてほしい」と要請を受けて、政治そのものを変えることに人生をかけてみてもいいのではという思いが生まれ、2012年春に県議団の事務局の職に就きました。
 亡くなった長谷部淳さんが県議会で知事の原発事故の認識について質問した時、佐藤雄平知事から「人災というべきもの」という答弁がありました。いまでも国や東電は事故がどういう性格のものかをはっきりさせていませんが、福島県としては防げる事故だったと。ふり返ると、オール福島で原発事故と闘う、すべての県民が被害者だという立場で進めていくという視座は、県議団の働きかけがあって得たものだったと思います。

 2015年に安保法制の強行採決があり、わたしは16年の参議院選選挙に向けて福島県選挙区の候補者になりました。しかし野党共闘がまとまって民進党の増子輝彦さんに福島選挙区候補を譲り、増子さんは岩城光英さんを破り、同時に比例代表で岩渕友さんを国会に送ることができました。
 2017年には「5区の候補者に」と打診があり、原発事故により人々の暮らしが大きな影響を受け続けている地域ですから、みなさんの声を受け止めて選挙を戦えるなら、と引き受けました。その年の4月に、家族でいわきに越してきて地盤づくりの地域活動を始め、9月に急きょ、衆議院選挙があり、この地域は希望、社民、共産と3野党がばらばらに戦いました。
 衆議院選が終わって、わたしの候補者の役目も解除されました。県議団の事務局に戻ってほしいと言われましたが、支持者のみなさんの思いを感じ「この地域で活動させてもらいたい」と県議団に訴え、いわき・双葉地区の勤務になり、地区委員長もしています。
 このたび立憲民主党の候補者だった鳥居作弥さんが、野党共闘のなかで立候補の見送りを決断してくださいました。わたし自身、共闘に譲るという複雑な思いを経験しているので、こころから感謝しています。鳥居さんの分まで原発事故の被災地の思いを訴え、政治を変えていきたいです。
 
 衆議院選の最大の争点は新しいコロナ対策に転換できるかということと、原発事故を乗り越えて原発ゼロの日本を目指すということです。この地域では原発汚染水(トリチウムなどを含む汚染水)の海洋放出は許されないということもあります。これまで漁業者のみなさんは国の基準より厳しくし、汚染された魚が市場に出回らないように頑張ってきて、本操業に向けて準備を進めるタイミングでの政府の海洋放出の方針決定です。
 有権者のみなさんは、いまの自民党政治に満足しているのでしょうか。総裁選や役員人事など一連の流れを見ても、安倍・菅政権がやってきた九年間を転換してほしいという多くの願いと岸田内閣の現状はかけ離れています。それに被災地としてもう原発はいらないし、トリチウムが残ったものを海に流すのは許されません。そういう当たり前の声を国にまっすぐ届けたいです。