モノクローム

カタカナ語辞典 527号

 時々届く雑誌の最新号に、カタカナ語辞典が入っていた。「刊行のことば」を読むと、このところ毎年作っているという。表紙には「インフルエンサーによると、いまの時代に求められるのはダイバーシティとリスキリングとのことです」と書かれていて、この3つのカタカナ語の誤認度がほかを圧倒しているらしい。
 カタカナ語が氾濫している。その渦に巻き込まれないように、ある時期から意識して、極力、カタカナ語を使わないようにしている。それでも使わざるを得ない言葉がたくさん現れ、しぶしぶ使っている。それに、無関心でいると相手の言っていることがわからずに立ち尽くしてしまい、敏感でいたい気持ちがある。
 表紙の3つのカタカナ語のうち、インフルエンサーはわかる。世間に大きな影響を与える人だ。ダイバーシティは潜水との関係を想像したが、まったく違う。多様性、様々な人材を積極的に受け入れようとする考え方。リスキングは変化に適応するために新たなスキル(技術)を獲得すること。リスク(危険)につながる言葉かと思ったけれど…。
 テレビで耳にするエモいは感情を揺さぶる、バズるは短期間で爆発的に話題が広がって多くの人の注目を集めること。Z世代は1996年から2010年生まれの人、キダルトは子どもの心を持った大人層とか。カタカナ辞典にはアルプス処理水も載っている。
 言葉の意味を知りたい時、ネットで調べることが多い。でも紙の辞書を引いた方が思考や記憶を司る脳の前頭前野がよく働き、頭の引き出しにきちんと入るそうだ。辞書をそばに置こう。

                                         (章)                        

そのほかの過去の記事はこちらで見られます。