モノクローム

湯澤さんの花だより 536号

 

 「阿武隈山地の絶滅危惧種」を連載している湯澤陽一さんから頻繁に、花だよりのハガキをいただいている。2025年はまず「フクジュソウが咲きだしました」という便り。高坂団地の友人宅のフクジュソウが咲いたという連絡を受け、早速、撮影に行ってきました…と書かれていた。宛名面には、会津では200㎝を超す大雪なのに、いわきは毎日異常乾燥注意報が続いていて、夜、のど飴をなめながら寝ています、と。
 そのあと「いわきにも雪が降りました」と、住まいのベランダから撮った写真がついていた。大船渡の森林火災にもふれられていて、いわき市でも昔、四倉の玉山から失火して西風が強い日で、多くの林と家を焼いて久之浜海岸まで燃え広がったことが綴られていた。
 3月下旬からは次々、さくら便りが届いている。21世紀の森と常磐共同火力のカワヅザクラ。それから大久町宝林寺。そのシダレザクラは昭和38年の大久大火で被害を受けたが、地元の人たちの保護活動で再生したという。ほかにも松ヶ岡公園や新川堤防、石森山、小川の諏訪神社、泉の大畑公園など、いわきのさくらの名所が続く。
 海抜735mの水石山の山頂駐車場から閼伽井嶽を臨むとヤマザクラの群生が楽しめることも、湯澤さんのハガキで知った。阿武隈山地のヤマザクラの名所の1つ。表面には、医療創生大学の裏山にジッケツイバラが紹介されていた。ヤマザクラのハガキはもう一枚、アカヤシオの名所として知られている小川町牛小川の水力発電所の水路周辺のヤマザクラの群落も見事という。
 浜通りの双葉郡や相馬のさくら便りも届いていて、今年は長くさくらを楽しんでいる。湯澤さんの花だよりは花そのものだけでなく、日々の暮らしの楽しみと、社会の目も教えてくれる。             

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