モノクローム

グラジオラスの咲く家 512号

 白井遠平の墓を案内してもらったあと、日を改めて武田嘉代子さんの自宅を訪ねた。少し込み入った場所で、近所で尋ねると「グラジオラスが咲いている家」と教えてくれた。長く生け花を習っていたそうで、いろいろな花を育てている。
 嘉代子さんは心平生家ボランティアの長老で、最初から続けているのは1人だけという。足を痛める前は「お墓に行きたいですか」と誘い、よく案内していた。なかには心平の詩「大字上小川」に登場するブリキ屋や鍛冶屋…それから小川小学校にも連れて行ってほしいと言う東京の若者がいた。
 また、経済学者の櫛田民蔵の実家に行きたいと言う男性がいて、磐越東線の線路を越えて連れて行った。その際「心平さんの居酒屋『火の車』の板前だった橋本千代吉さんの家はその坂を上った奥です」とも、つけ加えた。
 嘉代子さんは小川の山で山菜採りをする。ある時、山を歩いていたら急に視野が開け、新しい家がいっぱい建ち並んでいるのには驚いたという。小川も変化している、と。帰り際「飾ってね」と、グラジオラスを何本も持たせてくれた。

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