新型コロナウイルスと放射能 | 409号 |
このところ、正確に言えば1月後半ごろから、気持ちがさわさわしている。この感覚は9年前に経験した、あの感覚に似ている。東京電力の福島第一原発が事故を起こしたあの時。連日の東京電力や原子力安全・保安院、政府の記者会見を見ても、原子力に詳しい大学教授の解説を聞いても、東電や国の対応の後手後手は感じたが、原発で何が起きていて、どういう状況なのか、これから予測される実態がよくわからず、不安はさらに膨らんだ。
中国湖北省武漢市で原因不明のウイルス性肺炎が発症したという報道を目にしたのは、昨年末ごろだったと思う。年を明けてそれが新型コロナウイルスによるものと判明し、間もなく、人から人へ感染することもわかった。潜伏期間は1日から2週間。春節と重なって中国人の移動が始まり、新型コロナウイルスの感染者は中国のほぼ全土、そして世界へと広がっていった。
放射能と同じで新型コロナウイルスも目には見えず、存在を五感で察知できない。日本は積極的に新型コロナウイルスのPCR検査をしないので、ほんとうの現状がわからないまま、いまに至っている。PCR検査とSPEEDIは似ている。原発が事故を起こした時、気象や地形に基づき、周辺に放出される放射性物質の大気中の濃度や被曝線量 などを予測するシステムだが、事故の際、公開されなかった。
あの時、私たちが学んだのは知るべきことは自分で調べ、学び、考え、決めて行動することだった。それと自然に目を向け、動物的勘を磨き、いざというときに自分の直感を信じること。丸9年が経ち、復習している。
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