
おうちコンサート | 416号 |
新型コロナの影響で、久しくコンサートに出かけていない。最後に聴いたのは、1月末に文化センターで行われた、ヴァイオリンの佐藤俊介さん、チェロの鈴木秀美さん、ヒストリカル・ピアノのスーアン・チャイさんのベートーヴェンとブラームスの演奏だった。
そう思ったのは、5月にNHK BSで放送された「外出自粛の夜に~オーケストラ・孤独のアンサンブル」を見ていてのこと。オーケストラの奏者たちは演奏会を開けず、集まって練習もできないなか、自宅でひとり楽器と向き合うしかなかった。奏者七人をリモート収録でつなぎ、日々の暮らしや思いを語って一人で演奏し、次の奏者にバトンタッチした。
5分ほどの演奏。自宅での演奏で、生活が垣間見える。演奏中、人影のない夜の東京の風景に映像は変わり、ドライブしながら聴いているようだった。シューベルトの「リタニー」も、バッハの「無伴奏チェロ組曲」も心にしみた。
その番組を見たあと、無性にクラシックが聴きたくなった。それもCDやラジオの気分ではなく、早起きした時はクラシック倶楽部、のんびりできる日曜の夜はクラシック音楽館、気軽に「らららクラシック」や「題名のない音楽会」などをその時々、テレビで楽しんでいる。
クラシック倶楽部のあとには必ず「名曲アルバム」が放送される。これまでもたまに遭遇していたが、5分間で1曲の演奏と、曲にゆかりのある美しい映像や説明が流れる。おうちコンサートと思い、毎回の録画予約をするようになった。
ショパンの「雨だれ」は恋人のサンドとの逃避行で訪れたスペインのマヨルカ島の風景。曲の裏側にある物語のテロップ説明もいい。1日に一つ、名曲にふれるのが日課になっている。
(章)
そのほかの過去の記事はこちらで見られます。