10年という時間 | 432号 |
この5、6年、「ビッグイシュー日本版」(毎年3月1日号)のふくしま特集を友人でフリージャーナリストの藍原寛子さんと受け持っている。12月になると編集長の水越洋子さんと3人で東京に集まり、どんな特集にするか編集会議をしている。昨年はコロナ禍のため、オンラインでの話し合いになった。
ビッグイシューは雑誌を作って、販売をホームレスの人たちに独占させることで仕事をつくり、自立を応援している。その原型は1991年にロンドンで生まれ、日本では2003年から始まった。雑誌は1日と15日の月に2回発行し、ホームレスの人たちが路上で販売。定価450円のうち230円が販売者の収入になる。
日本のホームレスの人は年々減っている。ビッグイシューにとっても喜ばしいことだが、雑誌の販売者が比例して減少し、数年前から苦境に立たされ、奮闘してきた。さらに、この1年はコロナ禍のなかで、東京や大阪など大都市を中心に路上で販売するというスタイルは、大きな打撃を受けている。
3月1日発行の402号の特集「ふくしま 十年という時間」では、民俗学者で前県立博物館館長の赤坂憲雄さんのインタビューや、いわき市川前町・志田名の大越キヨ子さんのこの10年の奮闘や思いなどを伝え、読みながらそれぞれにこの10年を振り返り、これからを考えられるようになっている。10年という月日はふくしまにとってまだ始まりに過ぎない。
残念ながら、いわきでは「ビッグイシュー」を直接、路上で購入することはできなし、図書館で読むこともできない。そういう地域の人のために、昨年から定期購読ができるようになった。定期購読は1年間で、購読料が11000円(送料込み)。問い合わせはビッグイシュー日本06(6344)2260。
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