441号

 説明の際の話す速度441号 

 この441号の特集で紹介した、これ以上海を汚すな!市民会議が主催した「廃炉・汚染水 説明意見交換会」で、経産省原子力発電所事故収束対応室長の奥田修司さんに終盤、市民会議のメンバーの女性が次のように話した。
 「(処理汚染水の海洋放出について)丁寧に説明して理解を得られるようにとは、どういうふうにするのですか。いまのように早口で説明するのではなく、(私たちが)わかるように話してください。未来を考え、きちんと説明してもらって理解した上で判断したいのです」
 聞いていた多くの人が思っていただろう。時間制限でもされているかのごとく早口で話す。それは奥田さんだけでない。6月の市議会全員協議会に出席した官僚や東電社員もそうで、いろいろな場面で遭遇する。形的には向き合っていても対話にならず、理解が深まらないまま時間は過ぎていく。
 それもこの意見交換会のように「早口で説明するのではなく」と、その場で言うことは稀で、ほとんどは我慢して早口につきあっている。席上、指摘した女性は勇気がいったに違いない。
 話す速度、音読する速度によくNHKのアナウンサーの話しかた、読みかたが引き合いに出される。NHKの場合、1分間に300文字でゆっくり話す。ほかにも、話す目的をはっきりさせる、結論は最初の15秒で伝える、4つの抑揚(ゆっくり、大きく、前後の間、高さを上げる)で強調する、などのきまりがあるという。
 ほんとうに少しでも理解が得られたいと思うなら、ホワイトボードを使って図解するなど、さまざまな工夫があってもいいが、その姿勢は見られない。公聴会や意見を聞く会も同じで、回数が積み重ねられているに過ぎない。

(章)

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