
めだか農園のアサギマダラ | 449号 |
1カ月ほど前、正確には衆議院選の公示前日の10月18日、ずいぶん久しぶりに小川のめだか農園に行った。農園の主の吉田伸さんに会いたかったのと、もう1つ、渡り蝶のアサギマダラがやって来ているかもしれないと思ったからだった。
田んぼが広がる緩やかな坂を上り、細い山道を行くと左手にめだか農園が現れる。車を止めて、上から伸さんを探した。「午前中はだいたい農園にいるよ」と言っていたが、見渡しても姿はない。目に飛び込んできたのは、花が咲いたたくさんのフジバカマ。淡い紫の筒状花の先が裂け、細長くし白い花柱が飛び出していた。
伸さんは7年前、めだか農園で初めてアサギマダラ見つけ、迷い蝶なのでは、と思った。しかし、それからもアサギマダラは毎年やって来ている。そのため伸さんは、アサギマダラが好むフジバカマを増やしてきた。それが見事に育ち、広がっている。
フジバカマの群生地帯を静かにゆっくり歩いて、アサギマダラを探した。「いない」。1周しても見つからない。ビオトープで元気に泳ぐめだかを眺め、風に揺れるコスモスなど秋の草花の写真を撮るなどして帰ろうとした時、どこからともなく1羽の蝶が現れ、山の高い木々に向かって飛んでいた。
アサギマダラだった。カメラを向けたが姿はとらえられなかった。間もなく目の前のフジバカマにヒラヒラと3羽が飛び交い、花に止まった。浅葱色が美しい。そっとそっと近づいてパシャリ。よほどお腹が空いているのか、蜜を吸うのに夢中で動じない。
伸さんの言う通り。10月中旬にめだか農園を訪ねると、アサギマダラに遭遇する確率が高い。撮った写真で葉書をつくり、「やっとアサギマダラに会えました」と、伸さんに報告した。
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