455号

 福島県で暮らす私たちは455号 

 EU欧州委員会の地球温暖化に役立つ「環境に配慮した投資先」に原発も認める動きについて、脱原発を求めている小泉、菅元総理が1月末、日本外国特派員協会で行った記者会見をYOU TUBEで見た。その日、小泉さんたち総理経験者5人(ほかに細川護熙、鳩山由紀夫、村山富市さん)は、脱原発への転換を訴える書簡を欧州委員会の委員長宛てに送った。
 記者会見で小泉さんは「原発ゼロは難しい問題じゃない。日本は太陽光、風力、水力といった自然エネルギーに恵まれている。なぜ、できることをやらないのか」と語った。菅さんも「すべての電力は再生可能エネルギーでまかなえる」と説明した。
 後日、小泉さんたちが委員長宛に送った書簡の内容の一部が、国内で物議を醸した。福島第一原発事故の影響で多くの子供たちが甲状腺がんに苦しんでいる――というところだ。
 官房長官は「福島県の検査で見つかった甲状腺がんは、国内外の公的な専門家により、現時点では放射能の影響は考えにくいという趣旨の評価がされている」と述べ、環境大臣がEUに政府の見解を説明した。
 福島県の内堀知事は遺憾の意を表し「県の検討委員会から放射線被曝との関連は認められないとの見解が示されている」と話し、小泉さんたち5人に科学的知見に基づき、客観的な発信をするように書簡で申し入れたという。
 小泉さんと菅さんが記者会見をした日、原発事故当時、福島県に住んでいた6人(当時、6歳から16歳)が「事故による放射性物質の影響で甲状腺がんになった」と、東電に損害賠償を求める訴訟を起こした。また、内堀知事の遺憾の意に、福島県の甲状腺がん患者と家族の支援団体は「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいることは事実」と抗議している。
 2月初め、EU欧州委員会は原発を「環境に配慮した投資先」と認める方針を正式に決めた。福島県で暮らす私たちはこの一連のできごとをどう受け止め、考えるのか。

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