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福島県の建設了解のこと | 467号 |
福島第一原発の敷地内のタンクにたまり続ける、トリチウムなどを含む汚染水を海に流すための本格的な施設の建設について、福島県と第一原発が立地する大熊町、双葉町は8月2日、了解することを東電に伝えた。
そのニュースをテレビで見ていて、12年前の8月6日の福島県庁での取材を思い出した。その日、当時の佐藤雄平知事は「福島第一原発3号機でのプルサーマルの実施を受け入れる」と表明した。
1998年、福島県は全国で一番早くプルサーマルの受け入れを事前了解し、翌年にベルギーで作られたMOX燃料が福島第一原発に運ばれた。
しかし東電のトラブル隠しが明らかになり、2002年、当時の佐藤栄佐久知事は白紙撤回を表明、以降、計画は凍結された。その後、知事は雄平氏に交代し、1期目の終わりにプルサーマル実施を受け入れ、翌月から開始。半年後、震災と原発事故が起きた。
あの日、受け入れ表明の現場にいて、そのセレモニー的な進行に驚いた。県庁の特別応接室のシチュエーションや雄平元知事の表情と立ち居振る舞いから、用意周到に準備されてきたシナリオの存在を感じ、うまく演じきろうとする気持ちが伝わってきた。
今回の海洋放出に向けた建設の了解も同じで、海洋放出に向けてのレールに沿って進めているに過ぎない。発言者のほとんどが反対意見を述べた公聴会から4年が経つが、福島県の第三者的姿勢は変わらない。県は海洋放出をどう考えているのだろう。
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