ぐりとぐらのこと | 471号 |
この新聞を制作している最中に訃報が飛び込んできた。絵本「ぐりとぐら」シリーズの絵を長年描いてきた山脇百合子さんが亡くなった。山脇さんは5人姉兄の4番目で、姉で童話作家の中川李枝子さんが「ぐりとぐら」シリーズの文章を書いている。
山脇さんは高校三年生の秋から月刊誌「母の友」に1年間連載の絵物語の絵を描いた。その後、1963年(昭和38)、中川さんの『ぐりとぐら』の前身のおはなし「たまご」が「母の友」掲載され、上智大学フランス語学科の学生だった山脇さんがカットを描いた。
その後、絵本にすることが決まり、同じ年の12月、月刊物語絵本「こどものとも」の93号として『ぐりとぐら』が出版された。「たまご」では動物図鑑を参考にして描いたが、絵本にする際は国立科学博物館のネズミの専門家だった今泉吉典さんを訪ね、ネズミの標本を見せてもらって、オレンジ色のネズミをスケッチした。それが、ぐりとぐらの絵のもとになっている。はちきれそうな黄色いカステラができあがるシーンは印象深い。
山脇さんは涙腺や唾液腺など全身の外分泌腺が慢性的に炎症を起こし破壊されてしまう、自己免疫疾患のシェーグレン症候群で闘病していたという。80歳だった。
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