赤木雅子さんのこと | 475号 |
朝日新聞の土曜日の番組欄に「テレビ時評」のタイトルで、ドキュメンタリー監督の大島新さんが書いている。12月3日は、森友学園との土地取引を巡る公文書の改ざんを命じられ、自殺した近畿財務職員だった赤木俊夫さんの妻の雅子さんのことをふれていた。
安倍晋三元首相の国葬の是非についてさまざまな意見が出されていた時、大島さんは赤木俊夫さんのことを考えていたという。安倍さんが国葬で送られることを雅子さんはどう思っているのか、と。思いは同じで、国葬の賛否を見聞きしながら、いつもカメラの前で毅然と話す雅子さんのことを考えていた。
大島さんも書いているが、11月末のTBSの「報道特集」で、国葬の日の雅子さんの行動が明らかになった。国葬の日、雅子さんは日本武道館の前にいた。安倍元首相が銃撃される前日、雅子さんは安倍さんが選挙応援演説で近くに来ることを直前に知り、思いを書いた手紙を持って出かけ、安倍さんに渡したという。安倍さんは雅子さんを応援者と思い、手紙を受け取り、グータッチをした。「その手が温かかった」と、雅子さんは話していた。
夫の死後、訴えを起こし、ひとり闘ってきた雅子さん。「何があったのかほんとうのことを話してほしい」。その一心で、気負わずいまも頑張っている。忘れてはいけないこと、風化させてはいけないことがある。
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