能登半島地震のこと | 501号 |
「洗濯機のなかにいるみたいだった」。テレビ局の記者に尋ねられ、能登半島地震の被災者はそう答えた。
元日の夕方、石川県珠洲市を震源にマグニチュード7・6、最大震度7の地震が起きた。日本海沿岸の地震に伴う津波は太平洋側と比べて到達時間が早い傾向があり、珠洲市では地震からわずか1分後に第1波が到達したようだ。日本海側の地盤が隆起し、珠洲市や輪島市の津波観測計は測定できなかった。
テレビの映像などからわかるように多数の家屋が倒壊し、道路もずたずたに寸断され、土砂崩れや液状化も多発している。珠洲市の市長は地震の翌日、「ほぼ全壊で、市内は壊滅状態」と語っている。
被害の状況を専門家は、2020年以降に地震が頻発して家屋へのダメージが重なったことや木造の古い建物が多かったこと、揺れが一往復するのにかかる時間が1~2秒の「キラーパルス」と呼ばれる地震動で建物に被害を及ぼしやすかったのでは、と説明している。新耐震性基準に強化した木造家屋も半数は全壊している。
また北陸電力の志賀原発では、事故が起きた際の避難ルートになっている「のと里山海道」が複数箇所で陥没し、一時、全面通行止めになった。志賀原発は1号機も2号機も停止していたが、使用済み核燃料のプールの水が一部床面にあふれ出るなどしている。
「生きているのに助けられなかった。多くの人が建物に閉じ込められている」。そう話す被災者がいる。地震発生から10日、被害の全容はまだつかめていない。
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