行きつけの洋服店の閉店 | 507号 |
行きつけの洋服店が3月末で閉店した。女性が1人でやっていた店だった。1月に行った時に「3月でやめることになりました」と聞き、2月中旬に閉店セールのはがきが届いた。最後に行ったのは閉店の前日、女性は「なにか好きなことをします」と話していた。
2001年に大黒屋が倒産し、服を買う店に困った。ほかに何軒か季節ごとに行っていた店はあったが、多くは大黒屋で選んでいた。なじみのいくつかは、いわきサティ(現在のイオンいわき店)に入ったが、そのうちNEWYOKER以外はなくなってしまった。
なにがきっかけだったか、そんな時、女性が働いていた洋服店に行くようになった。大黒屋の婦人服のフロアにいた女性だった。好きなタイプの服が多く置いてあり、時々訪ねて、服を見ながらおしゃべりした。
試着をして、別の店員さんに「似合いますよ」と勧められて迷っていると、ほかのお客さんの対応を終えた女性は「少しきつそう、それはやめた方がいいですね」と言う。前に別の店で買ったワンピースを持参して「これに合うジャケットを探している」と相談したこともあった。
そのうちに、女性が勤めていた店が入った商業施設が老朽化のために閉店し、近くにいい物件を見つけて自分の店を開いた。それから6年、大家さんが建物を壊すことを決めたため、女性は年齢を考え、商売をやめることにした。もう少し続けたい気持ちはあったが、ほかに物件を見つけても内装など新たに始める費用を考えると、潮時と思ったという。
水戸や郡山に行けば、女性の店に置いてあった服は買える。でも試着して、迷って出直して購入することもあり、暮らすまちに行きつけの洋服店は不可欠と思う。年齢を重ねていくと、洋服店も美容室と同じで、新しい店を探すより、体型や好みをよく知る気心が知れた店がいい。
季節ごとに出かけていた何軒かの店もいまでは1軒だけになり、これからどうしようと思っている。
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