「ふてほど」って何? | 523号 |
今年の新語・流行語大賞の年間大賞が12月初めに発表された。「ふてほど」だった。ふてほど? ふてほど? ふてほどって……何?
もう何年も前から自分のシーラカンス化を意識している。アイドルグループのメンバーはほとんどわからないし、氾濫しているカタカナ語も???で、最近ようやくサブスクがわかった。いわゆる定期購読。それなら、だれにでも伝わるように「定期購読」と言ってくれればいいのに…と、心のなかでぶつぶつつぶやいてしまう。
ところで「ふてほど」とは何か。それはTBSで今年の初めから3カ月間、放送されたドラマ「不適切にもほどがある!」の略。宮藤官九郎さん脚本の話題になったドラマで、初回は見逃して2回目から見ていた。
1986年(昭和61)から2024年(令和6)にタイムスリップした阿部サダヲさん演じる主人公が、価値観の違いに戸惑いながらも奮闘する姿をコミカルに描きながら、「令和の常識」に縛られがちな現代を風刺し、問いかけた。昭和生まれとしては、うなづけた。でも流行語大賞としてはどうなのだろう。ドラマは見ていても「ふてほど」と「不適切にもほどがある!」は結びつかない。
流行語大賞のトップテンはほかに、昨年から騒がれている「裏金問題」、大谷翔平選手の「50―50」、パリオリンピックで銅メダルを獲得した総合馬術団体の「初老ジャパン」、やり投げで金メダルをとった北口榛花選手の「名言が残せなかった」、20年ぶりに発行された「新紙幣」、ヒップホップユニットCreepy Nutsのヒット曲「Bling-Bang-Bang-Born」、それに「ホワイト案件」と「界隈」と「もうええでしょう」が挙がっていた。
かつては年間大賞に選ばれた流行語はだれもが知り、納得できる言葉だった。でもこのところ、その年のヒット曲が浮かばないのと同じように、多くがうなずける流行語が現れない。これも多様性の時代だからか。この新聞が届いたころには、清水寺の今年の1文字も発表されている。
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