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いわきの巣鴨 | 528号 |
湯本駅前を歩いていると、元市議の岩井孝治さんが言っていたことを、いつも思い出す。岩井さんが最初に市議選に立候補した時に「湯本をどんなまちにしたいですか」と質問した。即座に「いわきの巣鴨、高齢者が一日過ごせるまち」と答えた。
湯本には温泉がある。お年寄りが電車やバスで来て、温泉に入って食事をして、通りを歩きながら買い物もして、ゆっくり一日楽しめるまちがいい、と。そのアイデアを膨らませれば、巣鴨のとげぬき地蔵のようなシンボルを観音山など周辺につくりるのもいい。
古滝屋の里見庫男さん(故人)は著書『地域の時代へ』で湯本街中百貨店構想にふれている。90年代後半、常磐青年会議所の仲間たちと手掛けた構想で、童謡館や若松光一郎館、ガラスと陶芸と和紙の工房、さまざまな浴場などをまちのなかに散りばめ、温泉情緒と文化の香りを売る百貨店にする、というものだ。
その構想に里見さんが取り組んだ温泉保養地と、岩井さんのいわきの巣鴨のアイデアを組み合わせて地道に進めていれば、きっと面白く楽しいまちになっただろう。初めはぽつり、ぽつりと寂しげだった会津若松の七日町通りも、いつの間にか店が軒を並べて多くの人が訪れている。
このところ駅前に造る温泉図書館の中身の話し合いを取材してきたが、どこにもない温泉図書館には行き着けず、名ばかりは否めない。
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