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天冠埴輪をめぐる人々 | 546号 |
磐城高校が保管する「天冠男子胡坐像」を昨日、東京国立博物館で初めて拝見しました。その美的センスの良さと造形の完成度に圧倒されました。(中略)そこで、お二人に「天冠男子胡坐像」について〝調査報道〟をお願いできないかと思った次第です。
昨年12月、読者の佐藤ひとみさんから、そうメールをいただいた。「時間はかかるかもしれませんが、伝えられたらと思います」とお返事し、その後も何度かメールのやり取りをした。福島県立博物館の企画展での天冠埴輪の展示(12月7日まで)をきっかけに、ようやく約束が果たせた。
ただ「調査報道」の域までは、まったく達していない。当時、発掘調査をした人たちや考古学の専門家などに話を伺い、手に取れる史料をできるだけ読み…そうしているうちに天冠埴輪の発掘・復元だけでなく、かかわった人々の生き方や人生にふれ、渡辺伊藤校長、後藤守一教授、松原正業さんなど一人一人をもっと知りたくなった。
本棚から発掘当時の研究ノートを見つけ、1996年に冊子「『天冠男子胡坐像』をめぐる男たち」を作った田中正さんは鬼籍に入られた。仁科誠さん、草野洋さんも。感受性の強い高校生たちにとって、豊かで刺激的で、興味深い時間だったのだろう。天冠埴輪はそれぞれのその後の生き方に影響を与え、宝物にもなっている。
端正な顔立ちで美しく、謎めいてもいる天冠埴輪。磐城高校同窓の画家の若松光一郎さんや田口安男さんはその一部を自作の絵に描いている。
(章)
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