388 宇宙の中の一つの点

宇宙の中の一つの点 

  人は死んでゆく
  また生れ
  また働いて
  死んでゆく
  やがて自分も死ぬだらう
  何も悲しむことはない
  力むこともない
  ただ此処に
  ぽつんとゐれば
  いいのだ


 『ひとつの道』に入っている。友人の写真家・土門拳はその著書でこの詩を引用し、「天平死す」の一報を聞いたときに、棺の上に飾る写真を撮っていなかったことを責め、「天平の霊に慚愧しなければならない」と書いた。