この書簡集は全体を貫く一つの骨があっていいと思う。決してこれはミビイキではない。ウコサベンせずにまっすぐ歩く姿勢がある。オレのジグザクから見れば清々しい風情である。ただ自分を高みにおきたがるところは四海波静をねらう君にしてはいささかせっかちなきおい肩だが、それも割引すれば年のせいで、も少し長生きしていたら、人文共に四海波静の界隈に生きていたことだろうと思う。(草野心平)
天平の死後14年が経った昭和44年に梅乃が出した『〈挨拶〉草野天平の手紙』のあとがきとして書かれた文章。心平の『私の中の流星群』にも入っている。心平の人間くささと弟への温かい眼差しにあふれている。