399 秋の夕方

秋の夕方

  ところどころに芒があり
  昼の月もでてゐる
  姿は見えないが
  少し離れたところから
  鈴虫の音がする

  さみしく忍ぶやうに
  一つ二つして
  しなくなる


 芒はすすきのこと。すすきと昼の月、そして鈴虫の音。秋の夕方の情景が心に浮かぶ。自然のなかにすっぽりと入ることができる天平らしい作品だ。