402 午前

午前

  柿の実が池へおちて
  一つ音をたてただけ
  木は木の影を
  土にうつしてゐる


 天平が愛した上小川には柿の木が多い。散歩をしながら自然にふれ、感性を研ぎ澄ますことを心がけていた天平にとって、その情景が愛おしかったのだろう。静かにその景色が浮かんで来る。