簡素
柔らかな雨はふつて
砂をしめらせてゆく
向ふの松はしだいに薄らいで
なくなつた
今はなにの音もなく
すくない波は
渚までくるが
そのまま帰らない
天平は酒が飲めず、でも酒の席には出て、にこにこしながら人を見定めているようなところがあったという。そういう意味でこの詩は、天平らしい詩といえる。表面的に達観しているようだが、その心中はわからない。そんな怖さも見える。のちに、曲がつけられた。
簡素
柔らかな雨はふつて
砂をしめらせてゆく
向ふの松はしだいに薄らいで
なくなつた
今はなにの音もなく
すくない波は
渚までくるが
そのまま帰らない
天平は酒が飲めず、でも酒の席には出て、にこにこしながら人を見定めているようなところがあったという。そういう意味でこの詩は、天平らしい詩といえる。表面的に達観しているようだが、その心中はわからない。そんな怖さも見える。のちに、曲がつけられた。