
亀井勝一郞のことば
一読して印象づけられるのは、この世に唯ひとり立つ人の、さわやかに志深い姿である。そこには2つの傾向がみられる。自然に託した清純で愁にみちたしらべと、いまひとつは、精神の姿勢を確立するための宗教的ともいえる思索過程である。独自の哲学的詩人とよんでよかろう。
まっすぐに、まことをつくそうという人間の志が、これほどはっきりと過不足なく表現された例は少い。無垢な魂の光のようなものが読後に残る。
(亀井勝一郎)
第2回高村光太郎を受賞した際に、亀井が天平に寄せた言葉。天平は第1詩集『ひとつの道』を出版したときに亀井に送って批評を求めたが、なしのつぶてだった。皮肉にも没後、梅乃が奔走して出版した全詩集が光太郎賞を受賞し、評価されることになった。