森閑と水を帯びて
写るほどの
実に清浄無垢な物の始め
年の始め
上も下も右も左も
老若男女ことごとく
自ら解き自ら戒めて
けつきょく喜々とした
素性に還す
根源につながる現代の
賑やかで新しい笑ひと威儀
きらきらとしぴかぴかとして
真に曇りない虚(こ)中の調べ
十万明朗天然の景
一千九百五十一の重みある
実に創めの日だ
(新年の讃)
1951年は昭和26年。天平が亡くなる前の年、新聞に掲載された。凜とした新年の空気と天平の透き通った精神が背筋をピンと伸ばしてくれる。