453 (無題)

 

  今ゐる処に
  しつかりゐるのが
  一番いいのだ

 『定本草野天平全詩集』のなかの未定稿詩篇に入っている、つぶやきのような言葉。題は特についていない。都会に別れを告げて比叡山に籠もった天平は詩と向き合い、孤独と闘った。さまざまな心の変化があったのだろう。まるで自分に言い聞かせるようにつぶやいている。