TURN茶会 |
コロナの影響で美術館の展覧会、アートイベントの予定も延期、中止が相次いでいる。私の関連するところでは、夏に予定していた新潟の大地の芸術祭は延期、藝大美術館、岐阜県美術館の企画展も会期半ばで中止、4月スタートの姫路市美術館のアートプログラムも日程がずれ込んでいる。そんな中で、みんなの思いが高まって立ち上がってきた展覧会がある。7月23日から8月9日まで、国立新美術館で開催する「TURN茶会」。障害者施設や問題を抱えたコミュニティーにアーチストが滞在して交流し、社会的課題をアートで解決していくビジョンを発信していくアートプロジェクトだ。
TURNの海外での活動は2016年以降、東京藝大と交流拠点の芸術大学等との連携で行ってきたが、海外には行くことができず、この2年間は停滞している。そこでこれまでに行ってきた海外での活動の実態と、これから交流するであろう海外の芸術大学のオンラインシンポジウムを同時に紹介する、体験型展覧会「TURN茶会」を企画した。国立新美術館に会場の協力をしてもらえることになり、春以降、急ピッチで動き始めた。
何もできないと思ってしまえばそれまで。何かできないだろうかと考える、人に話す、人の話を聞く、ビジョンを絵にして共有する、ビジョンを言葉にして共有する―。そんな些細なことが大きな動きにつながっていくことを、実感している。
誰しもが想像していなかったことが起きるのが日常。それに対応するのも想像することなのだ。大きな世界共通の社会的課題となっているパンデミックをTURNプロジェクトがどのように反応していくのかが問われている状況ともいえる。
「茶会」という日本の伝統的な他者との交流の時空間を携えて、「TURN茶会」を開きます。そこではお茶は立てませんが、アートの作法で他者との交流を時空間を超えて行い、現在の、そして未来の地球と人を問いていきたいと考えています。
(アーティスト)