

SDGsと芸術 |
最近SDGs(エスディージーズ)のことをいろいろなメディアで目に、耳にすることが多くなってきました。SDGsには持続可能な地球のために17の目標が掲げられています。東京藝術大学美術館でも「SDGs×ARTs」というタイトルの展覧会が8月31日まで開催され、注目されています。
この展覧会を開催するにあたり、今年の初めに、まずはSDGsの基本的なレクチャーを藝大の教員、学生に対して国谷裕子藝大理事(日本におけるSDGsの推進役)にしていただき、その後に蟹江慶應大学教授(SDGs研究者)と私が加わり、「なぜSDGsのゴールには芸術はないのか?」という表題でシンポジウムを行いました。その結果生まれてきた言葉があります。それは「17の的(まと)(ゴール)の素(もと)には芸術がある」というフレーズです。
17のゴール(数値目標、期日目標など・・・)を達成するには、私たち人間の行動変容が必須になってきます。例えば海洋環境問題でのマイクロプラスチックを減らすには、日常の生活様式を意識しながら変えていかなくてはなりません。その行為が持続的に行われるか否かは人の気持ち=こころ、次第です。ただ単に数値を達成することだけではなく、心底そうしたい! という意識がなければいけません。
心を動かすことが大事になってきます。そこで芸術の役割が出てくるのです。心を動かすことは芸術が人に及ぼす作用であり、芸術の得意なところです。つまり、17の目標を達成するためには人の行動を変えることが必要、人の行動変容を継続的にしていくには心からそうしたいということが必要、心を動かすには芸術が役に立つ、ということで、「17の的の素には芸術がある。」ということになるのです。
この言葉をもとにして展覧会のメインビジュアルを作成しました。十七の色分けされている円環状のSDGsのマークの色が中央でそれぞれ混ざり合って滲んでいる。この様々な色に成り得、絶えず動いているようなところが「人のこころ」です。そして、ここがアートの活動の場になります。SDGsをきっかけに作成したこのマークは、「アートは心の中にある」ということも改めて気づかせてくれたものになりました。
(アーティスト)