249:芸術未来研究場

 

芸術未来研究場

 

 今、私は東京藝術大学美術館で明日(11月10日)から始まる展覧会の設営作業をしています。展覧会名は「芸術未来研究場」展? 芸術は未来に効く!?。これは東京藝大がこの4月から立ち上げたプロジェクトで、アートの力で社会的課題に挑むことをテーマとしたものです。
 大学と企業、自治体、専門的機関と連携し、アートの価値を新たに創造していきたいと考えています。すでに藝大では研究室単位で連携事業、共同事業として様々な取り組みがなされてきていますが、大学全体として、藝大のブランディングとしてアピールしていくことにより、これまでに関わりを持てなかっら領域とも共創していき、大学支援、新たな経営スキームに繋げていこうとし、このプロジェクトが生まれました。
 アートプロジェクトという取り組みを展覧会にすることの難しさ、また、個々の研究室の活動が、映像、ワークショップ、造形、音楽、アーカイブ、リサーチ、などなど異なるメディアでの表現なので、それをひとつの展覧会として仕立てていく困難もあります。そこで、それぞれが求めている世界であったり、追及している課題であったり、未来に向けてのコンセプトを私のほうで言葉にして、それを会場のそれぞれの作品の上にバナーとして掲げることにしました。
 以下がバナーのテキストになります。この言葉から、どんな作品なのかを想像してみてください。
 「自分の世界と他者の世界が繋がる体験」「私の影が私の実態になる」「自身で音を奏でられることにより、生成される生きる力がある」「何事にも感じる度合いには個人差があるという共通意識が生み出す世界」「分校は地域の力を推します」「今の残し方によって未来の姿が変わるだろう」「質量は異なるけれども同じ空間があります。あなたはそこで何を創り始めますか?」「脳内直結!物質的魅力と共存」「ひらかれた場所を手がかりに、メディアを横断したリサーチ」「みなさん!建築の調査方法が拡張されました」「自然・技術・人間の関係性の行方」「行き場のない昆虫標本たちの新たなる居場所」「深層学習の構造を持つAIが学習した草花」「奥行きの知覚があるから」「現実の見え方すらも、揺らぎ、多様化している」「子どもたちが捉えた未来への問題提議」「互いを支え合うとは?ケアとは?」「一緒につくっていく風景」

 展覧会は11月26日までやっています。

                                     (アーティスト)