

作品「種は船」のこと |
「種は船」という作品があります。少し変わった名前ですが、朝顔の種の形をした船の作品です。2007年に金沢21世紀美術館で三隻(明後日丸、金沢丸、莇平丸)を発表し、2009年に横浜で二隻(Y150丸、YOKOTORI丸)を制作しました。その五隻がこの夏に初めて勢揃いします。場所は「大地の芸術祭、妻有アートトリエンナーレ2024」が開催される新潟県十日町市莇平です。山の中に船がやってきます。
種は船にとって莇平は、母港ともいうべき土地なのです。莇平では2003年に「明後日朝顔プロジェクト」の原型が始まり、莇平で収穫した種が全国に広がって、人と人、地域と地域、これまでとこれからをつなげていく現象が自然に起こり、参加した方々から「種は記憶を運ぶ船だ」という言葉が生まれて「種は船」の作品が生まれたのです。
「種は船」はこの五隻以外に、実際にエンジンを付けて航海できるタイプの「TANeFUNe」が瀬戸内海の粟島を拠点に活動しています。「TANeFUNe」はこの夏には香川県の庵治にある香川大学のチームと活動予定です。
これら以外にも鹿児島で制作した太陽丸、月丸、さらに大阪、埼玉県北本市、舞鶴市などでも市民と共にワークショップで制作してきましたが、これらは諸事情で廃船となっています。今年の夏が終わったら次はどこの港に行くのか行かないのか…。雪深い冬を越すことができるのか?(莇平に二隻分の屋根付きの場所はあるが三隻分は屋外になる)。もしこの記事を読んで「ぜひうちのまちに!」という方がいましたらお声がけください。船は出港します。朝顔の種のように「種は船」でこれまでの記憶を運んでいき、新たな街での記憶を積み込みます。8月14日、15日には私も莇平に行きますので、ぜひお越しくださいお待ちしています。
(アーティスト)