参加型評価 |
「評価とは価値を見出すことである」という言葉を明治大学の源由里子教授から聞いたのは半年ほど前である。評価する側と評価される側と対立関係であるのではなく、参加型評価という考え方があるという。
一般的に評価というと、学生で言えば、成績表、通信簿とか、社会人で言うと、お給料とか、経済の中では需要と供給、変動相場、為替、通貨など、政治の中では選挙、過半数、環境の中では、気温、大気中濃度などなど、日常の中にある数字が毎日ニュースで流れてくる。数字を発明したことによって人類は現在の様な社会構造を築いてきたといってもよいだろう。しかし文化芸術の評価は未だ開発中である。
たとえば美術館の入場者数とかが多いのがよくて、少ないのがどうのこうのと、その内容の質が比例するものではないだろうし…。芸術文化の社会的インパクトをどのように測るのか? 年度毎での比較で測れるのだろうか? そんな疑問を抱く中で「評価とは価値を見出すことである」という言葉は、霧の向こうに何かのシルエットが見えてきた気がした。
源先生と改めて11月28日に東京藝術大学美術館で開催された「芸術未来研究場展2024」のオープニングトークの中で対談をした。この展覧会では藝大が社会的課題に取り組む研究を六つの領域(ケアコミュニケーション、アートDX、クリエイティブ・アーカイブ、キュレーション、クリエイティブアーカイブ、芸術境域・リベラルアーツ)で展開している現状を展示とワークショップ形式で行った。新たな藝大のステークホルダーになりうる専門研究員、企業、自治体などにも見に来ていただいた。開催期間は7日間で5000人。展覧会は終了してこの数字が現れてきたけれども、この数字がどんな意味なのか? 互いに価値を見出す参加型評価は数値だけではなく、終了日以降も継続している。
(アーティスト)