

入学式 |
令和7年度東京藝術大学入学式が、4月4日(金)東京藝術大学奏楽堂で行われました。会場入り口には11色の紙(約60㎝×80㎝)が置いてあり、好きな色を1枚選んでもらって入場します。手渡された案内リーフレットには以下のようなことが記されていました。
《共に創る入学式ワークショップ2025》
960名が共に入学する2025年4月吉日/人類が誕生してからの時間の中で、/あなたと956名が今日、藝大で出会います。/この瞬間のエネルギーを共に感じ、表現し/時間、空間を共有する入学式。/960名が今ここで同じ体験をし/そして、ひとりひとりが/自分らしく表現する。/九百六十通りのイメージには同じものはなく、/互いの個性が響き合う中で自分らしさが見えてくる。/その力たちが共に未来をつくっていく。/さあ、はじめよう。/共に作る入学式/ 東京藝術大学長 日比野克彦。
私は会場にいる新入生たちに「今の気落ちを感じながら紙の真ん中に手で破いて穴を開けてみよう!」と呼びかけます。
今の気持ちがどんな気持ちなのかは自分自身がわかっているようでいないようで、しかし人に伝えるすべもなく、言葉にしてもなんだかぴったりこないような、でも体はここにある。そんな今の瞬間しかないこの時の自分自身を深く考えずに、とりあえず手を動かすと、紙がガサガサと音を立てて、少し力を入れると、ビリリと紙が破けている。
それを続けると紙の中に穴が開き、なんだか不思議な形が見えてきた。この形は2度と同じ形は作れない、入学式の同じ仲間といた空気感の中で生まれてきた、私の行為によって生み出された形である。960枚の色紙を全てステージ上に集めたあと、会場の上空にあらかじめ準備されていたロープに紙を吊っていく。奏楽堂の空間はみんなの形で埋め尽くされた。
「みんなで共につくる入学式」。会場はルイ・マルシャン作曲によるオルガン曲集 第3巻より 「グラン・ディアローグ」が廣江理枝教授の演奏で奏楽堂自体が楽器であるパイプオルガンの音で包まれていました。
(アーティスト)