編集室から

屋久島原生林の伐採と再生 510号

 茨城県天心記念五浦美術館で西田英俊展を見て、西田さんのアーティストトークを取材した。2022年から約1年間、屋久島で生活して森の中に分け入り、その自然を体感しながらスケッチを繰り返した。現在、3部・50m(完成時は90mの予定)まで進んでいる壮大な作品「不死鳥」のテーマは「人間と自然の共生」と「生命の循環」。その迫力と筆力に圧倒される。
 古くから信仰の対象だった屋久島はずっと手つかずの自然が残っていた。それが崩れたのは薩摩・島津氏の支配からで、「豊臣秀吉が方広寺の建築材を調達した」との記録もある。江戸時代になると破壊はさらに進み、幕末までに5~7割もの屋久杉が切られてしまった。その動きは明治から昭和にかけても、チェーンソーの導入などによって加速。30年前に世界自然遺産になった原生林は島の5分の1に過ぎない。西田さんはそうした現実を憂いて「不死鳥」を描き始めた。この絵巻物のような作品は屋久島に広がる森の破壊と再生の物語。見ることを勧めたい。

(編集人 安竜昌弘)

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