473号

田中正造の反骨精神 473号

  舘野廣幸さんの話を聞き、あらためて足尾鉱毒事件に生涯を捧げた田中正造(1841-1913)の凄まじい人生に瞠目しました。胃がんのために71歳の生涯を閉じますが、財産はすべて鉱毒事件反対運動などに使い果たし、無一文だったといいます。残された信玄袋には書きかけの原稿や新約聖書などが入っていただけでした。葬儀には30万人が参列してその死を惜んだと伝えられています。江戸、明治、大正と生きた正造の立ち位置はつねに民衆でした。権力に抗って何回投獄されても、反骨が揺らぐことはありませんでした。その生きざまに、ただ頭を下げるだけです。      

(編集人 安竜昌弘)

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