480号

伝説と歴史をつなぐ 480号

 伝説と町おこしをつなげるケースはよくあります。いわきでも白水阿弥陀堂を建立したとされる徳尼、高僧・徳一伝説などがあります。今回取材した安寿と厨子王物語もその1つです。推察される時代が平安後期、しかも物語として語られたのが江戸時代ということで、金山地区で銅像をつくったときは、どうしてもこじつけ感がぬぐえませんでした。しかし今回遠藤拓二さんの話を聞いて、物語の背景に興味を持ちました。安寿と厨子王が実際に存在していたかどうかは別にして、厨子王の祖父と父の役職名「岩城判官」と岩城氏との関係性が気になったのです。その考察はすでに水沢松次さん(故人)がしているのですが、さらに深めていけば、厨子王の祖父・政氏(平将門の孫)と徳尼の夫とされる岩城則道(常陸平氏出身)が同一人物かどうか、手がかりがつかめるかもしれません。歴史の面白さの1つです。      

(編集人 安竜昌弘)

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