511号

「時代」を写し込む 511号

 白河市在住の丹野清志さんから写真エッセイ集が送られてきた。タイトルは『遊覧』。「丹野清志の写真ノート」とサブタイトルがついている。年代は1969年から2004年まで。丹野さんとカメラによる時代の証言とも言える内容で、その風景と人々の表情が実にいい。都会と農村に自ら身を置き、モノクロフィルムで切り取っていく手法は静かだが迫力がある。印象深いのは「街道」。七ケ宿(宮城県)と六十里越(山形県)を歩き、住民たちとの距離を少しずつ縮めていく。そんな温かさが出ているいい本だ。 

(編集人 安竜昌弘)

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