![]() |
『荷風の昭和』のこと | 534号 |
川本三郎さんの新刊『荷風の昭和』(新潮選書)を読んでいる。前編は「関東大震災から日米開戦」まで、後編は「偏奇館焼亡から最期の日まで」。前・後編とも600ページ近いから、読み応えがある。川本さんによる荷風研究の集大成と言える充実した内容だ。
荷風の日記『断腸亭日乗』を丹念に読み込んで荷風が歩いた場所に立ち、その行動を追体験して荷風を感じてきた川本さん。自らの年齢が荷風が没した79歳を超えて80歳になり、思いもひとしおなのだと思う。
川本さんは小さな雨粒のようなデティ―ルを丹念に集めて大きな河にする。しかも関連の本や資料をきちんと読み込んでいるから広がりと深みが出る。同好の士ともいえる、荷風研究の先達に対しての敬意もあふれていて、気持ちよく読み進むことができる。しかも「おやっ」と目を見張る新しい発見もある。この大作を読み終えた暁には、紹介したい。
(編集人 安竜昌弘)
そのほかの過去の記事はこちらで見られます。

