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「旅と日々」のこと | 547号 |
映画「旅と日々」を見た。原作はつげ義春の「海辺の情景」と「ほんやら洞のべんさん」。なんとも静かで、つげの空気が漂っている。主演はシム・ウンギョンでシナリオライター役。新潟県魚沼郡にある雪深い旅館「べんぞうや」の主人役が堤真一。これがなかなかいい。河合優実は映画「海辺の情景」のなかに出てくる女優、という設定。
映画を見たら、つげの本が読みたくなって、何冊か出し、寝る前に読んでいる。その舞台は房総のひなびたまちだったり、山奥のだれも行かないような温泉場。そこでのエピソードを淡々と描く。主人公はほとんど、つげ本人と思われる男性で、読んでいる立場としては、とても滑稽に映る。主人公の設定が売れない漫画家のことが多いから、私小説的なところもある。そして何より絵がうまい。背景がリアルなので、自分がその場にいるような感覚になる。いまとなっては当時のかたちを残していないのだろうが、つげのように一人でぶらっと出かけて温泉に入りたくなる。
(編集人 安竜昌弘)
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