![]() |
名前やブームに惑わされない | 552号 |
高市政権が圧勝して「戦前に近づいているのではないか」と言う人がいるかと思うと「あり得ない。そうやって危機感を煽っている」と、すかさず否定する人がいる。選挙後の支持率はさらに上昇し、正直「この雰囲気は危うい」と思う。熱病にうなされるようになったときの日本は、間違った方向に突っ走る。
郡山市立美術館で開かれている「戦争と子どもたち」の取材で京都岡崎にある「星野画廊」に電話をした。自分の目を信じて「これぞ」と思った作品を買う。そういう商売を50年続けてきたという。「なんでも鑑定団」の影響もあるのだろう。ブームをつくると欲しい人が殺到し、値段が吊り上がる。SNSを中心に巻き起こった高市旋風も、中味のないワンフレーズにフラフラし、「乗り遅れたくない。われもわれも」という日本人の特質を巧みにくすぐった挙げ句の、圧勝劇のような気がしないでもない。一人ひとりが冷静にならなければ、ならないと思う。
星野画廊のご主人は「どんな作家にも駄作はある。それを見極める必要があるんです。名前やブームに惑わされてはいけません」と言う。今回、「戦争と子どもたち」に展示されている作品とじっくり向き合い、その言葉を実感した。それぞれの絵には作家の人生や作品をめぐるドラマがあり、この展覧会はとても見応えがある。
(編集人 安竜昌弘)
そのほかの過去の記事はこちらで見られます。

