「風」阿部忠文さん

 読売新聞の福島版の「風」の欄で阿部忠文さんが書いてくださいました。

日々の新聞

 いわきにまったく新しい地域新聞が生まれようとしている。独自のジャーナリズムを目指して地域夕刊紙を退社した安竜昌弘編集長や大越章子さんらが、来月から月2回発行する「日々の新聞」だ。
 タブロイド判12ページで月2回発行だが、速報性を確保するため電子メールを使った県内初のメールマガジンも出すという。また、すでに立ち上げたHPは、プロバイダーのHP紹介で「アメリカンジャーナリズムをベースとする硬派な新聞」と高い評価を受けている。
 「これまで事件やイベントなど毎日、毎日の事象の取材に追われ、陰に隠された人間ドラマが書けなかった」という安竜さん。自分の新聞では「あくまでいわきにこだわった上で、人間、文化、歴史にスポットライトを当て、ニュースを深く掘り下げたドラマを読者に伝えたい」と語る。
題字の「日々の新聞」は一昨年、いわき市展覧会を開いたアーティスト・日比野克彦さんとともに発行したパンフにちなんでいるが、日々のドラマを伝える意図もあるという。
 大黒屋を始めとする大型倒産など、経済的に厳しい状況にあるいわき市で、新聞創刊の道は険しい。安竜さんたちの挑戦を温かく見守りたい。

阿部 忠文 
(読売新聞 福島版2003年2月16日に掲載)