209:ちきゅうのこだま

ネット打ち合わせによる本の編集

ちきゅうのこだま

 この夏に出す書籍の打ち合わせ、編集会議、デザインチェックを、全てオンラインで行いました。書籍の内容は、私が監修して海外で行ってきているTURNプロジェクトを紹介するとともに、現地で体験したエピソードをもとに物語を創作した、ちょっと不思議なノンフィクション的なフィクション本です。タイトルは「わたしはちきゅうのこだま」。
 編集者とデザイナーと私は、長い時だと九時間くらいネットで互いつなぎっぱなしで、作業をしていました。テキストの校正、写真の変更、レイアウトの修正など3人で意見を言いながら、ページごとの画像を共有しながら140ページを見ていきます。こんな編集のやり方ができるのは、きっとコロナの影響だと思います。
 ネットで互いに仕事を共有しながら進めるということに、全く抵抗がなくなってきました。きっとコロナ以前だと、やっぱり会った方がニュアンス伝わるから次回は会いましょうとなるだろうけれども、そのことができないが故の、徹底したオンライン共同編集でした。
 書籍の発行に合わせて7月23日から展覧会も行います。場所は東京藝大美術館です。こちらの方は、人数制限、会場内で共有するものは消毒する、など、準備には気を遣います。この企画は、多くの人が世界から集まってくる東京オリンピックの開催に合わせたものでしたが、このような状況になり、メッセージの発信内容も少し変わり、世界の人がひとつのところに集まって来られないけれども・・・というものにしました。
 それでタイトルも「実態はないけれども声はする」という意味を込めて、「こだま」という言葉を使っています。また「ちきゅうのこだま」で検索すると「ちきゅうのこだまの集まる所」というオンラインワークショップが、ヒットするかと思います。これはあなたもこの展覧会に参加できて、あなたの作ったものが藝大美術館に展示されるような仕組みになっています。こんなこともコロナがなかったら考えなかったかと思います。この欄でまだしばらくはコロナ話が続くでしょう。

(アーティスト)