| 紙面を読んで From Ombudsman | 533号 |

宍戸 博
本紙531号(4月15日)に、いわきFCの新スタジアムの建設予定地が、小名浜のアクアマリンパークの西側と発表されたと報じられた。バックスタンド裏に5階建てとも言われているビルディング棟の併設も検討されている。ビルディング棟のキーワードは「学び」とのこと。図書館やホール、公民館のような文化施設を入れることも検討しているのかもしれない。そうなると小名浜は街中からランドマークが減り、港以外に特徴のない街になってゆくなと感じた。
私が子どもの頃、小名浜にはランドマークとなる建物がいくつもあった。小名浜市民会館、小名浜公民館、小名浜市民プール、小名浜支所、小名浜ショッピングセンター、小名浜名店街、カトリック小名浜教会、グリーン劇場・金星座・銀星座など映画館、小名浜魚市場…。歴史を感じさせる建物も街中に多くあった。古湊地区の大きな木造住宅、商店に併設された土蔵。街中では個性的な商店が軒を並べにぎわっていた。時代が進むにつれ、そうした住民の記憶に残る建物が街中から1つ1つ消えてゆく。建物には寿命があり、壊されるのは仕方がない。ただ新たなランドマークは、街外れの臨海地帯ばかりに建つ。
小名浜地区トークシェアミ―ティングには私も参加している。参加者たちは、小名浜の街中を活性化させるためのアイディアを活発に出し合っている。アイディアは、住民視点のものが多い。仲間と集まれる街中の居場所やお店、それらの場所からの情報発信、そしてそれらを支援してくれる仕組み。自家用車以外の移動手段。詳細を市のHPで読んでほしい。
アクアマリンパーク周辺にある非日常の大規模施設は、小名浜地区の経済振興のために大切と思う。合わせて小名浜の活性化には、街中に個人や住民が日常的に利用できる交流の場もほしい。トークシェアミーティングでの対話から、そうした場を作りたいと思っている住民が小名浜にもいることがわかった。空き店舗や閉館した映画館を表現の場に改装した、「UDOK.」や「小名浜座」という先行事例も小名浜にはある。行政が想いを持つ住民を支援する仕組みを作りさえすれば、住民は動き出すのではないか。
いわき市では市外に進学した子どもが戻らないことが課題となっている。私は、子どもたちが自宅と学校とを往復しているばかりで、街とそこに住む大人と繋がる機会がないことが原因の1つと思っている。大人たちに混ざって行う祭事、街中の個性的なホールでのイベント、親や友達と自転車で行く図書館。なにげない日常が、子どもにとってかけがえのない思い出になる。そうした思い出が、県外に進学した若者が卒業する時、ふるさとに戻ろうかと思うきっかけになるのではないか。
(「たけのこの会」世話人)
そのほかの過去の記事はこちらで見られます。
