omb549号

 紙面を読んで From Ombudsman549 

 

画・松本 令子

 

 渡辺 謙吾

 第547号「はなみずき書店のはなし」を読ませていただいた。
 じつはわたしも、昨年10月から自宅でちいさな本屋を始めたばかりだ。店主の荒木さんが「はなみずき書店」をオープンさせるまでの経緯については、その楽しさや苦労がまるで自分ごとのように目に浮かんだ。
 昨今、あらゆるメディアで「出版不況」「消えゆく街の本屋さん」「若者の活字離れ」などと叫ばれ、ついには経産省までが「書店活性化プラン」なるものをまとめている。そんな状況のなか、新たにひとりで本屋を始めたわたしにとっては、各地にこのような「仲間」がいることを知るだけでもなんだか心強くなる。
 記事には「書店の閉店が相次ぐなかで『はなみずき書店』のような独立系書店のオープンが全国的に相次いでいる」とある。「独立系」とはなにか。もともとは、欧米における独立資本の書店を指す〝Independent Book store〟が由来だが、じつのところ、日本における明確な定義はまだ存在しない。一般的には「近頃新しくできた、個人経営のちいさな書店」を指す意味で使われているようだ。
 「はなみずき書店」もわたしの店も、その意味では同じ「独立系書店」かもしれない。しかし店主が違えば、自ずとお互いにかなり趣を異にした「本屋」になっていく。それがいい。画一的な書店像から「独立」し、多様な店主がそれぞれ好きなように本屋を営む。ちいさくても多様な本屋が増えれば、町の風景も少しは豊かに見えてくるのではないだろうか。そんなことを考えながら、今日も静かにわたしはお店を開けている。

(すぎのいえ書房)



 

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