554号

優しさを持った鋭さ 554号

 広田次男さんが「変なことをしたら早大闘争のころの自分を裏切ったことになるからね。それはできないもの」と話していたことが、今回の取材のきっかけだった。しかも「いわきを引き払って東京に移る」という。お孫さんに適した教育環境を確保すること、裁判が書面中心に変わってきたことが理由だそうで、「爺さん婆さんにとって孫はかわいいからね。いないと寂しいもんだよ」と口元が緩み、眼が優しくなった。
 若かったころの広田さんの印象は、鋭い闘士。学生時代に二連協議長として仲間たちをまとめた名残だろうか。何となく足を引いていた。でも、さまざまな取材を通して、さっぱりしていて男気がある人だと知った。
 矢吹道徳さんへの追悼文をお願いしたら、叙情的な原稿が来た。悲しみが行間ににじんでいるのだが湿っぽくなく、とても静かで美しい文章だった。文は人なり。お元気で。

(編集人 安竜昌弘)

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