東北人の意地を噛む選挙にしよう
「反安倍」の旗 |
「大義なくして大疑あり—国民」。朝日新聞の「かたえくぼ」にこんな川柳が載った。投稿者は「東京・寅さん」。思わず「うまい。座布団を1枚」と叫びたい気分だ。庶民はみんな、安倍政権の傲慢さといかがわしさに呆れはて、愛想を尽かしている。
市長選が終わったと思ったら、衆議院の解散総選挙。またも選択肢の乏しい、わくわくしない投票を強いられることになる。でも政権選択に直結する選挙なので、そうも言っていられない。ここは将来を見据え、浮かれずに1票を投じる責任を自覚したい。
安倍内閣支持者には申しわけないが、いまの執行体制がこれ以上続くようだと、日本はますます隘路に迷い込むことになる。総理と、それを取り巻く側近たちの言動を第三者の目で冷静に見ていると、それがよくわかる。
底流にあるのは、仲間かそうでないか、敵か味方かだけ。自分を含めた仲間が不利になると、権力を笠に着て平気で嘘をつき押し切る。そこに政治家としての良心や道理はない。加計・森友問題での言い逃れが、その典型だろう。
もう1つ。よりによって、あのトランプに歩調を合わせ、北朝鮮を刺激するような発言を、繰り返している。いたずらに危機感を煽って内政の課題や問題を煙に巻き、選挙を有利に働かせようとしている魂胆が透けて見える。
世界唯一の被爆国である日本のトップが、核拡散に対して消極的なのも、許せない。盲目的なアメリカ追従主義の度が過ぎて、「多様性を認め合う鷹揚な謙虚さ」という日本特有の好ましい精神をないがしろにしている。
いまでは、アベノミクスの「ア」の字も出ない。特定秘密保護法、刑法改正、安保法制のゴリ押しもある。この内閣は、国民をどこに向かわせようとしているのか。そろそろ目を醒まし、薄っぺらな公約スローガンに躍らされていることを、自覚すべきだと思う。
さて選挙。ジャーナリストのむのたけじさんは、「東北は国の植民地という歴史から逃げてはいけない」と書いた。小選挙区は白黒がはっきりつく。対立を煽るわけではないが、歴史を振り返って東北人としての意地を噛み、「反安倍」の旗を立てたい。
(安竜 昌弘)
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