

突然、パソコンロック ウイルス感染?
実はアメリカの詐欺集団 冷静に対応して
反省ばかり |
ある日の午後、家のパソコンが突然ロックされ、操作不能になった。画面にはマイクロソフト社からのメッセージで「これ以上操作すると危険です。ロックを解除するには電話してください。電話代は無料です」というメッセージが出ている。電源を落としてみたが、画面が消えない。頭を抱えた。
実は、お気に入りのCDを作るためにYouTubeをダウンロードして音声データに変換する作業をしていた。ウイルスをブロックするソフトからは警告が出ていたのだが、支障がなかったので無視して続けていた。いまとなっては「軽率だった」と反省している。
いろいろやってみたがどうにもならず、マイクロソフトのサポートと思われる電話番号に携帯電話からかけた。するとたどたどしい日本語の外国人が出た。「トロイの木馬というウイルスに感染していて、取り除かないと情報が流出し悪用される恐れがある」と言う。こちらは藁をも掴みたい心境なので「じゃあお願いします」と作業を依頼すると「お金が必要ですが、大丈夫ですか」と言う。この辺りから雲行きが怪しくなってきた。
「ウイルスを除去するソフトを5万円で購入しなければならない。すぐコンビニへ行ってアップルカード(プリペイドカード)を買ってパソコンに差し込んでください」と言う。「おかしい」と思いながらも情報の流失が心配だし、いろいろ考えながら「パソコンを初期化するので結構です」と言っても、不安を煽ってくる。一時は「プリベイドカードを買うしかないか」とまで追い詰められたが、思い直して家の電話で信頼できるパソコンのお医者さんに電話した。すると「それは詐欺ですよ。無視すべきです。まずネットを切ってください」と指示された。そうしているうちに電話が切れた。
あとで調べてみると、その電話番号はアメリカのニューメキシコ州で、ウイルス除去ソフトを売るための特殊詐欺であることがわかった。感染が心配されたパソコンも、的確なアドバイスをしてくれたお医者さんに預けて中身をチェックしてもらったら、大丈夫であることがわかり、ほっとした。
ネットはとても便利だが、簡単に世界とつながることができる分、リスクもかなりある。特にその世界に詳しくないものにとっては、すぐ手の届くところに危険があるということを頭に刻まなければならない。便利さを享受したいと思ったら、きちんとした知識が必要なのだ。今回は「パソコンがウイルスに感染している」という不安を突かれ、垂れていた釣り糸にかかってしまった。反省ばかり。注意を促したい。
(安竜 昌弘)
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