第237話 浅田政志さんに会った(2024.3.31)

 風の通る家

 浅田政志さんに会った237話 

 

 ある用事で東京・西麻布にあるスイッチ・パブリッシングを訪ねた。雑誌「SWITCH」や「Coyote」「MONKEY」を定期刊行している出版社で、螺旋階段で地下1階に降りると、見たことのある男性がいた。
 頭に浮かんだ人物はあったが「まさか」と思い、名刺を交換するまで黙っていた。やっぱり写真家の浅田政志さん。家族写真をテーマに撮り続けていて、写真集『浅田家』は木村伊兵衛写真賞を受賞した。
 その写真集を原作に、2020年、映画「浅田家!」が二宮和也さんの主役で作られた。2022年には水戸芸術館現代美術ギャラーで大規模な個展が開かれ、日々の新聞(459号)でも紹介したが、お目にかかったのはこの日が初めてだった。
 その地下1階である人のインタビューが行われ、終わると浅田さんが撮影の準備を始めた。インタビューを聞きながら、イメージを膨らませていたようだ。バックスクリーンの前に座らせ、手にあるものを持たせて、体を正面や左斜めになど注文しながら、ファインダーをのぞいてシャッターを切った。
 その姿はまさに浅田マジックだった。だれの、どんな写真なのかは、そのうちわかるかもしれない。



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