風の通る家

| 呼び鈴のはなし | 243話 |
編集室のある建物にはドアが2つある。左側は1階の詩人の草野天平さんと夫人の梅乃さんの記念の部屋「天平・梅乃ルーム」のドア。右側が2階の編集室のドアで、開けると枕木の階段が現れる。ドアの右に呼び鈴のボタンがあるが、凝ったつくりなので訪れた人は呼び鈴のボタンとは思わず、下から「こんにちは」と声をかけてくれたり、迷いながらそのまま階段を上がって来たりする。
長方形の板に真鍮のちいさなボタンがついたモダンな呼び鈴で、あまりにおしゃれすぎて建物と同化して見えるのかもしれない。「これですよ」と呼び鈴のボタンを教えると「これか、これじゃわからないなぁ」と言われる。呼び鈴が鳴らなくても、階段を上がってくる音がするので、だれかが来たことはわかるが、時に足音が聞こえないまま不意にドアが開いて驚くことがある。
そうかと思うと、足音だけで「〇〇さんだ」と、わかることも。
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